About

遊山は、山で過ごすひとときから、

感覚や時間のとらえ方をそっと変えていく試みです。


日本各地には、管理されず“負債”とされる山林が数多くあります。

私の祖父も林業を営み、次世代のために、と植えた木はいまも切られずに山の中で伸び続けています。

山は本来、水を育み、空気を清め、多くの命の居場所となる、生態系としての価値を持っています。けれど、それらは、都市や日常の暮らしのなかで実感されにくくなっているのかもしれません。

だからこそ、山の中で過ごし、ふだん意識しない感覚が静かに目を覚ますような時間が、見えない価値への気づきを促してくれるのではないか。

そんな思いから、遊山は始まりました。

山の中で、ただ静かにそのときを味わう。

すると、風の通り道に気づいたり、光に照らされた植物に気づき、音の輪郭がはっきり感じられたり。 感覚がゆっくりと動き始めます。

山は、その場を離れてからも、

あなたのなかに小さな余韻を残していくかもしれません
たとえば、季節の移り変わりを感じたとき、日差しが差したものを目にした時、お湯を沸かしている時。

こうした感覚を取り戻しに山に足を運ぶことを、現代の「遊山文化」と呼ぶことにしました。

まずは、その入口として、お茶の時間をご用意しています。

かつて山師たちがその場で摘み、炙り、煮出していたお茶と、

風土に根ざしたもうひとつのお茶の二種をお出しします。

今日、ここで感じたことが、

明日、どこかでふと訪れますように。